静岡の建築

こんにちは。M2の宮本です。

以前、研究室のあるプロジェクトで静岡に調査へ行く機会があり、ドライバーとして私も参加しました。

入念に感染対策をしながら、調査として実測や見学を行いました。その傍らで、静岡の建築をいくつか見て回ったので、軽く紹介して感じたことを書き留めます。

【藤乃煌 FUJINOKIRAMEKI】
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富士山の麓にあるグランピング施設です。SNSやコロナ禍など、最近の色々な状況が重なりキャンプが流行っていることもあり、利用客が多い印象でした。いわゆるコンテナを活用した宿泊施設で、一室一室が富士山を一望できたり、他の利用客とは自然と距離が保てたりと、ハード・ソフト面ともに今の時代に合致している気がしました。
宿泊施設の利用客が求めるものの比重が、おもてなしではなく、自由に楽しめる環境の提供といった能動的なものに置かれることが増えてきたように感じます。
あと、このような独立した形は、ペットと一緒に泊まれたり、サブスクの映画をプロジェクターで観れたりと、最新のニーズを柔軟に取り込めるところがいいです。
いつか落ち着いたら体験してみたいです。

【とらや工房 / 内藤廣建築設計事務所】

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名の知れた和菓子の老舗「とらや」の工房です。厨房と、その場で甘味を楽しめる喫茶スペースや物販などが併設されています。竹や木々で囲まれた周辺環境がすごく良くて、とらやの「うちのおいしい和菓子を最大限に楽しんでほしい」という思いを感じました。とらや”工房“という名の通り、和菓子づくりの職人の作業をガラス越しに間近で見られます。注文待ちの列を並ぶ最中に厨房が目に入るようになっており、これから体験する和菓子への期待を膨らませます。

建物高さは低く抑えられ、周囲の自然を抱くような円弧の形や、自然の緑が映り込む大きなガラスによって周辺環境に溶け込んでいるようです。この日は天気が良く、喫茶スペースの窓が開放されていて、心地よい風が流れるなかで、利用客は甘味を楽しんでいました。建物前面に樹木や池、背後に日の当たる空間があり、それらが作り出す温度差によって風が流れているのではないかと思います。町屋の中庭と前面道路の温度差を活かした通風の取り方と似ています。

 

コロナウイルス感染対策の三本柱「密集・密接・密閉」の回避が人々に浸透し、キャンプや屋外客席を楽しむ人が増えているみたいです。これは、外出を抑制された人々が、風や光を享受する自然のなかで過ごす気持ち良さのアンテナレベルを上げたからではないかと思います。こういったことからコロナ禍は、周囲の環境を享受し人の快適性を高めていくパッシブデザインの普及に、大きな影響を与えるのではないかと感じました。